生きづらいふ

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結婚して夫になった僕は妻の姓を選んだ

先日、入籍をして夫になったのだけど、その際、僕が妻の姓に変える形を選んだ。

 

最新のデータではどうなのかわからないが、ちょっとネットで調べてみると夫が妻の姓に変えるのは日本では4%しかいないらしい。感覚的にも、やっぱり結婚すると夫側の姓に奥さんが合わせるよね、というのが一般的ではあると思う。

 

そんな中で、なぜ夫になる僕が姓を変えることを選んだのか。

 

理由はごく単純で、奥さんからできれば姓を変えてほしいという希望があったからだ。対して、僕は特に強い希望はなかったので、じゃあ奥さんの希望に沿おうということでこの形を選んだ。ただそれだけだ。

 

ちなみに奥さんにすでに尻に敷かれているとか、めちゃくちゃプレッシャーをかけられて負けたということでは一切ないのでご承知おきください。きちんと僕自身の意思で選んだ。

 

正直、自分が姓を変えることを想像したことがなかったので、抵抗がなかったかと聞かれればやはり多少の抵抗感はあった。わりと自分の苗字は気に入っていたし、繰り返しになるが自分が苗字を変えることを想像したことがなかったので、戸惑いのようなものはあった。

 

自分の名前が変わった場合のフルネームを字に書いて眺めてみたり、発音してみたりした時のなんともいえないしっくりこない感じ。苗字の画数が増えるので、ちょっといかつい感じの雰囲気になってしまうけどどうだろうなあ、というのが正直なところだった。

 

ただ、この違和感や抵抗感は結婚したら必ずどちらかが味わうものだ。別に女性が姓を変えることがデフォルトで、その逆がイレギュラーなわけではない。慣習的にそのケースが多いだけで、実際にどちらを選ぶかは当事者が自由に決めればよいことだ。

 

その前提に立ち返って考えた時に、僕たちの場合は奥さん側には明確に希望があって、僕側には特段なかったので、その希望に沿う形で僕が苗字を変えることを選んだ。僕が最初に感じた違和感や抵抗感は、仮に奥さんに苗字を変えてもらうことになっていたとしたら奥さんが感じることになっていただろうと思うので、そこはあまり選択の根拠にならないと思った。

 

それにこの話し合いをしている時に、他の男性で苗字を変えた人はどんな感じなのだろうと思い、読んだ記事がとても参考になったし、ちょっと後押しにもなった。

「4%の男」 - 結婚して男性が名字を変えると人生がどう変わるか -|御守 一樹|note

 

この方も書いているが、たしかに日本で4%の男になれるのはちょっとおいしいなと思ったというのもある。96%の男性は苗字を変えたことがない中で、その経験をできるのはけっこう楽しいのではないかとも思った。

 

そんなこんなで、幸いお互いの両親等からの反発もなく、すんなりと決まった。

 

そして、入籍を終えて実際に苗字が変わった。

 

早くも10日ほどが経ったのだけど、思ったより楽しいというのがいまの所感。何が楽しいのか、というとなんとも言い表しにくいのだけど、なんというかこう名前が2つあるという状態が経験したことのない非現実的な状態で、それがちょっと楽しいという感じ。

 

名前を変えるなんてゲームの世界でしかやったことがないのに、それが現実世界でしかも自分自身に起きている。新姓に変わった瞬間にもうひとりの人格が生まれたような、遊戯王の武藤遊戯の「もうひとりの僕」が生まれたような、なんともいえない感覚だ。

 

それからよく大変だと言われている各種名義変更の対応については、いま絶賛対応中というところだが、思ったよりは大変には感じていない。僕の場合、運転免許を持っていないので最重要項目をひとつスキップできるというのはあるが、銀行・クレジットカード・会社などへの名義変更申請はほぼほぼオンラインでできたので、そこまで大変ではなかった。

 

ただ、いま住んでいるアパートの賃貸契約書を新しい名前で作り直すことになってしまい、その手数料で2万円もしてしまったので、そこだけ皆さんもご注意ください。結婚の前に引っ越しをして、そのあと姓が変わる人が世帯主になってしまうと、同じように契約書の作り直しが発生する可能性がある。

 

それに職場ではビジネスネームとして旧姓のままで仕事できるようにしていただいたので、これまでとまったく変わらず旧姓のままで仕事をしている。もちろん上司や関係性の深い同僚らには伝えてあるが、その他大勢には特に伝えていないのでなんら変わりなく仕事をしている。

 

苗字が変わって困ったことでいうと、まだいろんな名義変更が完了しておらず公的機関に登録されている苗字が新旧入り交じっている状態なので、場面によってどっちを名乗ればいいか一瞬悩むこと。マイナンバーカードは新姓だけど、保険証はまだ旧姓なので、例えば病院に行く時は「ええっと、どっちだっけ?あ、旧姓か」みたいな思考を一瞬挟んでから名乗っている。

 

先日、電話で病院の予約を取る時に、「お名前よろしいですか?」と聞かれ、とっさに判断できず思わず「ええっとちょっと待ってくださいね、どっちを言えばいいんだっけな...」と完全に怪しい独り言をつぶやいてしまった。

 

まあでも困るのはそれくらいで、それも含めてけっこう楽しんでいる。

 

最初にあった違和感・抵抗感もいまはなく、むしろ変えてよかったかもと思うくらいだ。やはり慣れているものに変化が加わる時に抵抗を感じるのは人間当たり前なので、苗字を変えるのに抵抗を感じるのは男性だろうが、女性だろうが、みんな同じだと思う。

 

今回、姓を奥さん側に変えるにあたって、僕側に名義変更の手続き等が発生してしまう代わりとして、奥さんが新しい苗字の印鑑を作ってプレゼントしてくれた。フルネームのものと、苗字だけのものと2種類、しかもそれなりにお値段しそうな立派なものを。

 

当然、新姓での印鑑は必要になるけど、自分で作るのもなかなかに面倒な作業なのでとても助かった。これは苗字を変えるのが男性側だろうが、女性側だろうが、他の方々もぜひ参考にしていただければと思う。

 

ということで、夫になった僕が姓を変えた理由と変えた後の感想を書いてみた。

 

姓を変えること自体はとても簡単だし、変わったところで何かがめちゃくちゃ変わるわけでもない。でも名前が2つあるという不思議な感覚を味わうことができて、ちょっと楽しかったり、貴重な経験ができたりする。

 

だからといって、別に男性が姓を変えることを推奨するつもりは一ミリもない。あくまで当事者のなかでフラットに決めればよいことだと思う。ただその時に、抵抗感みたいなものは感じるかもしれないけど、それはただの慣れの問題だし、どちらかが味わうものなので、そこはあまり考えずにシンプルに「お互いがどうしたいか?」で選ぶのがよいのではないかと思う。