生きづらいふ

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コミュ障にとって美容院はコミュ力検定試験

いまだに美容院に行くのが苦手である。

 

2-3ヶ月に一度は美容院に行くという習慣を15年近くは続けているが、何度行っても毎回ちょっと緊張してしまう。

 

どうして緊張してしまうのか。ポイントは3つある。

 

ひとつ、切ってもらいたい髪型のイメージをうまく伝えられるのかという不安。

ふたつ、美容院というオシャレな空間に自分がいるという居心地の悪さ。

みっつ、カット中の美容師さんとの会話問題。

 

ひとつ目については、いまだにどう伝えていいのかわからない。髪型にそこまでこだわりがあるわけではないので、「前髪は何cmくらい切って、こっち側に流して、どうのこうの」と具体的なことは言えない。とにかく「無難な感じで、いい感じにしてほしい」という抽象度MAXな希望しかない。

 

なので毎回、何かしらのサンプル写真を見せて「こんな感じで」と言うようにしている。それが一番間違いがなく、イメージを伝えやすい。

 

ただ、あまりに自意識過剰なのだけど、その写真を見せた時に「え、お前がこの髪型にしたいの?」と思われるのが嫌なのであくまで「これにしてください」じゃなくて、「こんな"感じ"にしてください」と、"雰囲気だけ"これを踏襲してください、あくまでこれと同じになりたいわけじゃないんです、という謎の予防線を張った言い方をしている。

 

ふたつ目については、わかってくれる人はいるだろうか。これもただ自意識過剰なだけなのだけど、自分如きがオシャレな空間にいるとどうも居心地が悪い。お店の雰囲気も、店員さんもオシャレな感じで、場違いな感じがする。服屋さんも同じで、オシャレな服屋さんであればあるほど入りにくいが、ユニクロならいくらでも入れるという感覚。

 

さて、みっつ目が最大の問題である。

 

なんなら最近は美容院という場所は、コミュ力の検定試験か何かかとすら思えてきた。

 

できるのであれば、切ってもらっている間は黙ってスマホを見ているか、置いてあるタブレットで雑誌でも見ていたい。ただし、メガネを取ってしまうとあまり見えないのでスマホ・タブレットを異様なまでに自分の顔に近づけることになってしまい、それはそれで落ち着かない。であれば、もう静かに目を瞑って自分の世界に入ってしまいたい。

 

別に僕がそうしたければそうしても問題はないのだろうし、実際にそうしたことも何度もある。ただ最近は、ほんのすこしコミュ障がマシになってしまったこともあってか、中途半端に会話するようになった。

 

というのも、昔はだいたい最初に少し美容師さんから話しかけれても、単純にコミュ力がなさすぎて「そうですね」「なるほど」「たしかに」しか言わないマシーンだったので、序盤でもう話しかけられなくなったのだけど、最近はもう少しまともな返しをしたり、話を繋げたりするようにはなったので、少し会話が続いてしまうのだ。

 

かつ、「美容師さん側もきっと黙って切っているよりも話しながらのほうが暇じゃなくてありがたいのかな」と勝手に想像した上で、「全然会話しないハズレの客になりたくない」という美容師さんを気遣っているというよりは、自分のしょうもないプライドのために、なんとか会話をしようという考えを持つようになってきている。

 

とはいえコミュ障であることに変わりはないので、なんとなく会話はしているがたいして盛り上がっているわけでもないし、そこまで話を膨らませることもできずに、断続的に会話が発生しては消え、また発生しては消え、を繰り返していく。

 

会話が止まると、周囲の別のお客さんと美容師さんの会話が聞こえてきたりする。そちらさんは楽しげな会話で盛り上がっていたりする。まずいまずい、あっちはお互い楽しそうなのにこちらは盛り下がっている。僕を担当してくれている美容師さんはハズレを引いたと思っているだろうか、と自意識過剰な妄想が広がっていく。

 

そういえば、海外でUber的な配車アプリを使って車に乗った時に、ドライバーさんはイヤホンをしていて、おそらくドライバーさんの友達と電話で雑談しながら運転していたということがあった。日本の美容師さんも同じようにイヤホンで友達と電話でもしながら切ってほしい。

 

いや、それよりも僕がコミュ力を上げるか、自意識過剰を直すほうが先決か。